住宅支援打ち切りへの抗議: ―自主避難者による抗議運動の成否を分けた六つの要因 (Jūtaku shien uchikiri e no kōgi: Jishu hinansha ni yoru kōgi undō no seihi wo waketa 6-tsu no yōin)

Löschke A (2022)


Publication Language: Japanese

Publication Type: Book chapter / Article in edited volumes

Publication year: 2022

Publisher: Akashi Shoten

Edited Volumes: 福島原発事故被災者 苦難と希望の人類学―分断と対立を乗り越えるために

City/Town: Tokyo

Pages Range: 261‒298

Abstract

福島第一原発事故発生から数ヶ月後、「自主避難者」という新たな用語が作られた。自主避難者とは、3.11後、政府による避難指示が出なかった地域から避難した人びとを指す。

多くの自主避難者は東京電力による補償を受けられず、補償を受けられたとしても、ごくわずかな補償額しか受け取ることができなかった。東電による補償とは別に、政府は自主避難者に住宅を無償提供するために年間八〇億円を拠出した。大半の住民たちには避難先で民間の賃貸住宅を借りるだけの十分な財力がなかったので、この住宅政策は住民たちにとって「命綱」であり続けた。本章は、こうした住宅支援打ち切りに抗議するために形成された自主避難者の当事者運動を分析する。

この運動はいかにして生じ、いかなる変容を見せていったのか。自主避難者のうち、いかなる人びとが運動に参加したのか。この運動はなぜ、限定的な成功しか収めることができず、政府による住宅支援打ち切りの決定を覆すことができなかったのか。本章は、一九八〇年代以降、日本社会を研究する法学者・社会学者・政治学者たちから国際的に注目され、二〇一六年以降、再び脚光を浴び始めている社会運動の一形態、「当事者運動」の研究を背景として、これらの問いに一定の答えを出すことを試みる。

本研究は、二〇一四年一〜二月、二〇一五年一一月におこなわれたフィールドワーク、そして、インターネットを通じて継続的におこなわれたエスノグラフィーの結果に基づいている。質的インタビュー調査の対象となったのは、二一人の自主避難者と、四〇人の支援者である。

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How to cite

APA:

Löschke, A. (2022). 住宅支援打ち切りへの抗議: ―自主避難者による抗議運動の成否を分けた六つの要因 (Jūtaku shien uchikiri e no kōgi: Jishu hinansha ni yoru kōgi undō no seihi wo waketa 6-tsu no yōin). In Takuya Tsujiuchi, Tom Gill (Eds.), 福島原発事故被災者 苦難と希望の人類学―分断と対立を乗り越えるために. (pp. 261‒298). Tokyo: Akashi Shoten.

MLA:

Löschke, Ayaka. "住宅支援打ち切りへの抗議: ―自主避難者による抗議運動の成否を分けた六つの要因 (Jūtaku shien uchikiri e no kōgi: Jishu hinansha ni yoru kōgi undō no seihi wo waketa 6-tsu no yōin)." 福島原発事故被災者 苦難と希望の人類学―分断と対立を乗り越えるために. Ed. Takuya Tsujiuchi, Tom Gill, Tokyo: Akashi Shoten, 2022. 261‒298.

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